病いと揺らぎ : 北條民雄「いのちの初夜」における名付けと名乗りに関する考察
Published in OUKA (Osaka University Knowledge Archive) (Osaka University) • 2026
NobleIDNI6P71W66R01S83
Authors:,,
瞳 井上
ヒトミ イノウエ
Hitomi Inoue
Abstract
近年、人文社会科学の領域だけでなく医療の領域においても、生物医学的な視点だけでなく「患者の視座」が注目され、そこから病いの経験を捉え直す試みが積極的になされている。しかしその一方で、従来の研究は「患者の視座」なるものがそもそもどれほど首尾一貫したものなのかという問いについては中心的に扱ってこなかった。そこで本稿は、こうした研究動向に新たな視座を提示すべく、ハンセン病療養所を舞台とした北條民雄の「いのちの初夜」(1936)という文学作品の分析を通して、「病者である」ことをめぐる揺らぎを明らかにすることを試みた。その際に注目したのは、「医師-患者」といった対面的な対人関係だけでなく、人以外の諸要素...
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